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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第34章 桜の追憶『狂想恋歌』 / 石田三成




(あれ? 舞様……?)


安土城の書庫。
三成は舞の姿を見つけ、思わず心が踊った。

舞が書庫に居るなんて珍しい。
少し得した気分になる。


(って、姿を見ただけで、これですか)


思わず浮き足立っている心を鎮める。
声を掛けようと、近づこうとした時だった。



「舞、あったか?」
「あ、政宗」


舞の側に、政宗が近づいてくる。
政宗は慣れた手つきで舞の腰に手を回し、舞の手に持っている本に視線を送っていた。


「本当にこれで合ってるのかよ」
「さぁ……多分?」
「なんでお前が疑問形なんだ、一緒に探してるこっちの身にもなれ」


政宗はなんだか怒っている様子だったが、多分本気では怒っていないのだろう。

その証拠に。
困り笑いで、舞の頭を撫でようとしている。

あからさまに、好意を持っている仕草。

三成は、さっと二人に近づき……
今まさに頭を撫でようとしている、政宗の手を掴んだ。


「お二人とも、探し物ですか?」
「あ、三成君!」


三成の姿を見た途端、舞は目を輝かせた。
一方、政宗はすんでのところで阻まれ、面白くなさそうに三成の手を振り払う。


「ちょっと本を探しててね」
「政宗様とですか?」
「政宗とは、さっきたまたま会ったの。 そしたら探すの手伝ってくれるって言うから」
「それは、お疲れ様です」


三成は天使の笑みで、政宗に一礼する。


「探すの、代わりましょう。 多分、安土城の書庫なら私のが詳しいので」
「本当? 三成君、ありがとう!」


歓喜の声を上げる舞とは裏腹……
政宗と三成は、視線を絡ませたまま、どちらも動かない。

すると、政宗が無言のまま顎で、書庫入り口の方を指す。
『ちょっと表へ出ろ』と言っているのだ。

三成は舞に向き直り、そっと頭を撫でながら、いつもの口調で言った。


「舞様、少し待っていて頂けますか? 政宗様の顔を見た途端、信長様から政宗様への言伝を預かっていたのを思い出しました」
「そうなの? うん、解った、行ってらっしゃい」


舞にニコッと微笑み、先に歩き始めた政宗を追う。

書庫から出て襖を閉めた瞬間。
政宗は三成の肩を、壁際に押さえつけた。


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