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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第4章  家康流、愛する人を甘やかす方法 / 徳川家康



舞に違うよ、と言ってほしくて。
家康は反射的に手を伸ばし、舞に触れようとした。



しかし。






パシッ……!









舞は、家康の指が腕に触れただけで、その手を跳ね除けた。




(…………っ)



「あ、ごめん……!」


舞は我に帰ったように目を見開き、家康に謝った。


しかし家康の中では、それが決定打となり……
こぶしを握りしめて苦虫を噛み潰したような声で、吐き捨てた。




「……帰る」




反物を床に投げ捨て、足早に舞の元から立ち去る。
もう、顔も見れなかった。


(拒絶された、舞に)


ただ手を跳ね除けられただけなのに。
自分の全てを否定されたようで。

心が痛かった。



「待って、家康! 違うの、ただ……!」

舞の必死な声が後ろから聞こえてくる。
言い訳なんて、聞きたくない。


(俺は、ただ、ただ……あんたを)



思いっきり甘やかしたかっただけなんだ。


立ち去りながらも、舞を想う。
愛しい恋人を、想っているのに、何故。

こんなにも苦しい……



















それから、暫くの間。
家康は舞を避け続けた。

何度か舞が御殿を訪ねて来たが、全て帰した。
今舞に会ったら、自分は何を言うか解らない。
自分でも思っても見ないほど、深い傷になっていた。







「家康、どうした、ぼんやりして」

安土城書庫で、政宗と鉢合わせする。
政宗は心配そうに、家康の顔を覗き込んだ。


「元気ないな」
「別に関係ないでしょ。 ほっといてください」


政宗を無視し、家康は本に目を落とす。

やれやれ…と、政宗もまた自分の仕事に戻った。







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