第33章 厳禁!溺れた君に快楽を / 伊達政宗
『不純異性交遊禁止』
ある日の安土城。
広間に集まった武将達の前で……
秀吉は目下にこれを掲げ、話し始めた。
「明日から始まる慰安旅行だが……とりあえずこれを守れ。 違反した奴はそれなりに罰則があるからな」
淡々と資料を見ながら話を進める秀吉に、いち早く食いついたのは、政宗だった。
渡された資料をこれでもか!ってほど握りしめ、怪訝な表情を浮かべる。
「なんだよ、不純異性交遊禁止って。 別に大人なんだから、んなモン禁止しなくたって問題ないだろ、ガキじゃあるまいし」
「お前が一番心配なんだよ、政宗」
秀吉は政宗の前に来ると、びし!と指さした。
「この旅行、舞も連れて行く事、知ってるな?」
「連れてかなきゃ、お前を斬る」
「じゃあ、慰安旅行の『慰安』の意味は?」
「日頃の労をねぎらって、楽しませる事だ」
「さすが政宗、よく辞書を引いているな」
褒めていても、口元は笑っていない。
秀吉はタレ目で政宗をガンっ!と睨んだまま続ける。
「お前と舞は恋仲で、伽をするなとは言わない。 ただな、頑張りすぎて舞を疲れさせるのは、どうなんだ、政宗」
「あいつが可愛く煽るからいけないんだ」
「ンな事は聞いてない! 舞は昨日も腰が痛いって、一日中唸ってたの知ってるんだぞ。 原因はお前しか考えられないだろ」
その言葉に、政宗はぴゅーっと口笛を吹いた。
そして、秀吉の首根っこを掴みにかかる。
「秀吉……お前、舞の事ヤラシー目で見てんな。 やらねーぞ、あいつは俺の物だ」
「妹の世話焼いて、何が悪い」
「本当に妹と思ってんのか、お兄ちゃん様よ」
「なんだと?!」
「やるか、てめぇ!」
ついに掴み合いになった二人を、しげしげと見つめるのは、家康、三成、光秀の三人。
「馬っ鹿みたい、帰っていいですか」
「そう言えば、お茶を淹れに行った舞様遅いですね。 手伝って来ましょうか」
「お前が行くと、徒労が増えるから、やめた方がいいよ」
「お気遣いありがとうございます、家康様!」
「……気遣ってないから、別に」
「やれやれ、先が思いやられるな、これは」
「皆さん、お茶が入りましたよー」
と、広間の襖が静かに開く。
ひょっこり顔を出したのは舞と信長だった。