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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第27章 不機嫌と暁の予知夢 / 織田信長






『信長様、ごめんなさい』



(舞……?)



舞はそう言って、切なげに笑った。
捕まえようとしても、するりと逃げてしまう。

この手に抱き締めたいのに、それが叶わない。



『貴方だけの為に、生きられなくなってしまいました』



(何を言う、貴様は俺のものだろう)



舞の姿が遠ざかる。
追っても、追っても、追っても。
追いつかないその姿は、どんどん小さくなっていき……



『私じゃなくても、愛して』



そう言って、ふっと姿消えた。


















「…………っ」



何かに引き寄せられるように、信長は目を覚ました。
嫌な汗を、全身にかいている。

訳も解らず褥から起き上がって、混乱する頭をなんとか制すると。



(……夢、か……)



冷たい身体が、思考を現実に引き戻した。

元から眠りが浅いため、夢なんてほとんど見た記憶が無いが……
それにしても、お世辞でも良い夢とは言えない。



(やはり、舞が居らぬと、冷たくて敵わん)



安土を出て地方に来てから、早二十日は過ぎる。
もう帰途で、二、三日中には安土へ到着するが……
すでに舞欠乏の末期症状はきているようだった。

すぐにでも、この腕に抱きたい。
乱れ喘ぐ姿を見ながら、快楽の絶頂へ導きたい。

そして、これでもかと言う程甘やかしたい。



(俺も、本当の意味でうつけと呼べるな)



そんな事を思った時、襖の向こうから声を掛けられた。
その声の主に一瞬で辿り着き、信長は返事を返す。



「秀吉、何故貴様がここに居る」



襖がゆっくり開き、姿を現した秀吉が、すっと信長に近づいた。
そして一礼すると、真剣な顔で話を切り出す。



「信長様に一刻も早く知らせねばと思い……早馬を飛ばして参りました」
「なんだ、謀反でもあったか」
「いえ、もっと由々しき事態です」



秀吉の重々しい口調に、信長は怪訝な表情を浮かべた。



「申してみよ」
「はい……舞の事ですが……」


一瞬、舞の花のような笑顔が頭の奥に花開いて……
そして散った。



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