第27章 不機嫌と暁の予知夢 / 織田信長
「あ……っ舞…………っ」
「のぶ、なが、さまぁ…っはぁ…っん……っ」
「今日は…優しくしてやれそうに、ないな……っ」
その言葉を聞き、舞は震える手で、そっと信長の髪を梳いた。
「優しくなんて、しなくていい、です…っ」
「なに……?」
「私も、信長様が、欲しい、ですから……っ」
(…………っ)
そう言って、あまりに綺麗に笑うので。
信長は指で舞の頬に触れ、そして口付けた。
「んっぁ…………っ」
「俺も…貴様が、狂う程に、欲しい……っ」
「愛して、います、信長様……っ」
「舞……愛している……っ」
ぐちゅんぐちゅん!ぐっちゅぐっちゅ……!
信長は激しく律動を始めた。
なり振り構わず、ただひたすら欲のままに。
しかし、お互いがお互いを求めている。
それがもう、痛い程に解るから。
身の程なんて考えていられない程……
愛しているから。
「信長様ぁ…っもっと、ください……っ」
「くれてやる…全てを、舞……っ」
二人は、離れていた隙間を埋めるように。
狂うように、お互いを求め。
触れ合い、繋がりあった。
「…………」
秀吉は天主に踏み入れようとして、押しとどまった。
大名達との宴会も中盤に差し掛かる。
信長不在の言い訳をするのも、限界が来ていた。
しかし、中で行われている情事を察すれば……
とてもじゃないが、邪魔をする気にはなれなかった。
「秀吉」
手をこまねいていると、後ろから声を掛けられた。
振り向くと、光秀が怪訝な顔をして近づいていた。
「信長様はどうした」
「あー……まぁ、あれだ、うん」
煮え切らない秀吉の返事に、光秀は明らかに不機嫌な声になる。
「お前がなかなか帰って来ないから来てみれば…。早く呼びに行ってこい、流石にもうまずい」
「……今御館様は舞と会ってるんだ。今は……呼びになんて行けねぇよ」
察しのいい光秀は、それだけでどう言う状況は把握したようで……
後ろ頭をかいて、ふうっと息を漏らした。