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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第26章 戯れと高まりの先の君 / 明智光秀





「舞、はかどっているか?」



光秀の御殿。
その裏手にある、小さな倉庫。

その中で一人片付けに勤しむ舞に、光秀は声をかけた。



季節は年の瀬。
そろそろ年内に使った物の片付けなどせねば……と、何時だったか話をした時に。

舞が手伝いますよと、買って出てくれたのだ。

その時はあてにはしてなかったものの……

今朝になって、本当に舞はお片付けをしましょう!とやってきた。


その言葉に甘え、いつもは手を付けてない、御殿裏にある倉庫の片付けをしてもらっている。




「あ、光秀さん!」



倉庫の奥からから、舞がひょっこり顔を出した。

ほこりのせいか、舞の白い肌が少し黒ずんでいるような……



「割とごちゃごちゃしてますねー…でも、片付ければ、もうちょっと仕舞えそうですよ」
「そうか。 少し休憩にするか? 甘味を持ってきたぞ」
「わぁ……ありがとうございます!」



舞が倉庫の奥から、こちらへやってくる。
光秀はそこらへんに積み重なっている木箱を、机代わりに、持ってきた風呂敷包みを置いた。



「ほこりっぽいな……外で食うか?」
「中でいいですよ、今日外寒いんですもん」



確かに、今日は晴れているとは言え、北よりの風で、かなり寒い。
まだ倉庫の中のほうが、暖を取れるというものだ。


舞が甘味を置いた隣の木箱に、腰を降ろしたのを見て、光秀も甘味を挟んで隣に座る。


茶筒から温かいお茶を注ぎ、渡してやると、舞は『ありがとうございます』と、ほっこりした笑顔になった。

……と、甘味を出そうとして、ある事に気がつく。



「手が真っ黒だな……食えるか?」
「あ……」



舞は、ほこりまみれの小さな手を、握ったり開いたりしている。

光秀は楊枝で羊羹を一口大にすると、舞の口元に差し出した。



「食え」
「え、えぇ……っ」



舞は顔を真っ赤にして俯いた。
光秀は面白がって、顔を覗き込む。



「……口移しじゃないと、食わないか」
「た、食べます、頂きますっ」



舞は指まで咥えそうな勢いで、羊羹を頬張った。


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