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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第20章 大胆な君にはご用心 / 豊臣秀吉





「懐妊、してますね」


三日後。
遠方から帰って来た家康に舞の体調を診てもらった。

家康のあまりにあっさりした言い方に、秀吉と舞は目が点になる。




(子が出来てる、だと? 三日しか経ってないのに?)




同じ事を思ったのか、舞は不思議そうに家康に尋ねた。



「家康、子どもを授かって、どのくらい経ってるか判る?」

すると、家康はまたあっさりと答える。



「多分、四十日ちょっとくらいかな。 ここ最近、熱っぽかったり、吐き気があったりしたって言ったよね」
「うん……」
「で、月のモノ、来てないんでしょ?」
「う、うん」
「どう見ても懐妊の初期症状、だいたい四十日くらいで出るから、それ」



つまり、三日前に身体を重ねたのとは関係なく、すでに舞は子を授かっていたのだ。



(しまった……子がいるって解ってれば、あんな馬鹿みたいに抱いたりしなかったのに)



「…………」

顔を見合わせ、苦笑いをする秀吉と舞を見て、家康はちょっと押し黙ったが……

やがて、何かを察したように秀吉に言った。



「秀吉さん、駄目ですよ」
「何が」
「安定期に入るまで、舞を抱いちゃ」
「な…………っ」
「その様子だと、孕んだの知らずに抱いたんでしょ」



(解りやす……っ)

明らかに舞は真っ赤になって俯くし、秀吉は秀吉であたふたしているし。

家康は内心呆れながら、舞に言葉を続けた。



「信長様に報告したら。 きっと喜ぶよ、あの人」
「うん、そうだね」
「なんか、舞達の祝言から一周年のお祝いしたいって言ってたから、丁度いいんじゃない」
「え、信長様が?」



家康が頷くと、舞は幸せそうに、ふにゃっと笑った。
それを見て、つい家康も口元がほころぶ。



「舞、秀吉さん、おめでとう」



きっと来年の今頃は、とても賑やかになっている事だろう。

嬉しそうな舞を、穏やかに見つめる秀吉。
そんな二人を見て、家康もまた。
優しい笑顔を二人に向けるのだった。











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