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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第20章 大胆な君にはご用心 / 豊臣秀吉




「ただいま、今帰ったぞ」
「秀吉さんっ!」
「ん……わぁっ!」


襖を開けた瞬間、思いっきり胸に飛び込んできた舞を、秀吉は慌てて受け止めた。

よろけて、思わず後ろに尻もちをつく。

舞は猫のように、秀吉の胸に頬を寄せた。


「秀吉さん、秀吉さん」


名前を呼びながら、胸に顔を埋めてくる。
猫と言うより、しっぽを振って懐く、子犬みたいだ。



(なんか、可愛いな)



そう思いながら、様子が少し変だなと察する。
頬に手を当て上を向かせると、顔は赤く上気しており、目はうるうると潤んでいた。


「舞、お前……もしかして酔ってる?」


酒独特の甘い香りがぷんぷんするのに気がつく。

舞の背中越しに自室を見ると、酒の瓶が何本か転がっているのが見えた。



「酔って、にゃいよう」



(完璧に酔ってるな、こりゃ)


呂律が回ってない舞の頭を撫でると、舞は気持ち良さそうに目を細めた。



「ねぇ、秀吉さん、聞いて?」
「うん」
「私がどのくらい秀吉さんを好きか言うから」
「は?」



突然そんな事を言い出し、舞は饒舌に話し始めた。


「秀吉さんは私のヒーローなの」
「ひーろー?」
「イケメンだし、フェミニストだし、信長様みたいにサドじゃなくて……」
「ちょっと待て、何語だ、それ」


意味の解らない単語の羅列に、秀吉は思わず頭をひねった。
多分褒められているのだろうけど。

しかし、舞がやたらとニコニコしながら話すので、そのままにしておく。



「だから私、鼻が高いの。 私の旦那様はこんなに素敵な人なんだよって。 人たらしなのは心配だけど、でも他の人に頼られる秀吉さんもカッコイイから許しちゃう、えへー私って幸せ者だなぁ。 秀吉さんは、世界一カッコイイ私の旦那様だよ、誇って言えるよ」



(ここまで言われると恥ずかしいな……)



背中がむず痒くてたまらない。
酒の力とは言え、こんなに言われると照れてしまう。

秀吉は思わず真っ赤になって、後ろ頭を掻いた。



「あ、照れてる、可愛い」
「照れてない」
「可愛い秀吉さんも大好き、すごーく大好き」



ニコニコしながら、舞は平気で愛の言葉を囁く。


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