第14章 禁じられた遊び / 信長、政宗、秀吉
信長は、ほかの三人の成り行きを見つめ、最後にくじを引いた。
本当は数字が見えないように、くじを引かねばならない。
でも、信長にとって、自分が何番かはどうでも良かった。
「あ、私、王様だっ」
舞が勝ち誇ったように笑って言う。
一回くらいは、当たりを引かせてやらねば。
「じゃあ、二番が三番に、肩車をする」
信長は番号を見ると、二番だった。
(これは面白いな)
「俺、三番。 二番は誰だ?」
そう言うのは秀吉だ。
信長は、くくっと笑って棒を振る。
「俺だ」
信長が言った途端、空気が凍りついた。
秀吉なんか、顔を青ざめている。
「信長様に肩車させるなんて……っ」
「仕方ない、王の命令は絶対だ。 秀吉、肩に乗るが良い」
「しかし……っ」
「早くしろ」
すでに誰が王様か解らない空気だが、秀吉は一礼して信長の肩にまたがった。
途端に信長が立ち上がる。
秀吉は、ぐらんぐらん揺れて、落ちそうだ。
「わわ、危ないっ」
「秀吉ー、眺めはどうだ」
「信長様、充分です。 降ろしてくださいっ」
「駄目だ、せっかくなら天守を闊歩するか」
そう言って、ずんずん歩き出すから、たまったものじゃない。
腹を抱えて笑う舞と政宗を尻目に、部屋を一周して帰ってきた。
「の、信長様、ご無礼を……っ」
「下克上が垣間見えたぞ」
その一言にまた舞と政宗が吹き出す。
(まぁ、舞が楽しいなら良い。 しかし……)
信長の目つきが変わった。
これぞ、魔王の目だ。
「さぁ、二回戦行くか」
信長が棒を握り直す。
実は、舞は気がついてないようだが……
くじにちょっとした細工がしてある。
棒の先が少し潰れてるのが、王のくじだ。
番号が書いてある反対側……つまりは、くじを引く側が潰れている。
注意深く見れば解ってしまう。
現に、秀吉と政宗は気づいているようで……
どちらが先に引くか、言い争っている。
「俺が引く」
信長はその隙に、さっと王のくじを引いてしまった。