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【イケメン戦国】燃ゆる華恋の乱

第11章 純情アンチテーゼ / 伊達政宗




(しまった、可愛い)


思わず手が伸びて、頭を撫でていた。
指に絡む柔らかい髪が、少しくすぐったい。


「今日はどこ行くの?」
「市を回って、湖でも行くか」
「うん、いいよ」


目をキラキラさせて、楽しみにしていてくれたんだろうなぁと言うのが、よく伝わった。

自然の流れで政宗は舞の手を取ると、そのまま引いて歩き出す。


「あ……」
「どうした?」
「う、ううん……なんでもない」


舞もそっと、手を握り返した。
















「わぁ、綺麗なかんざし。 あ、あっちの櫛も可愛いな」

露店を回る舞は、興味がころころ変わって、まるで犬みたいだ。

さっき買ってやったあんず飴を食べながら、舞は目をキラキラさせて露店を見ている。

そんな表情を見るだけで飽きないな、と。
政宗は心の中で苦笑した。


「なんか買ってやろうか」
「え、いいよ。 そんなつもりで見てたんじゃないし」
「欲しいから見てたんだろ?」
「可愛い物は見るだけで楽しいから」


舞は無欲だ。
欲しがることもないから、こちらから無理やり買ってやらないと、贈り物をするスキすらない。




「いらっしゃい!」

露店に入ると、恰幅のいい主人が出迎えてくれた。
べっ甲や象牙、真鍮……、いろいろなかんざしが置いてあり、舞は歓喜の声を上げた。


「わぁ、素敵だなぁ……」


そんな中、政宗は銀で出来た、玉かんざしを手に取った。
一本足のかんざしに、玉を一つ挿してあるだけの、とても簡素で飾り気のないかんざし。

玉は舞の着物と同じ青瑠璃色。



(これだな)



政宗は、おもむろに舞の髪に、そのかんざしを挿した。


「え、政宗?」
「いいから、挿しとけ」


勝手に会計を済ます政宗に、舞は慌てて引き止める。


「いいよ、高いのに!」
「たまには何か買わせろ」
「でも……っ」

まだ何か言いたげの舞の頭を、政宗は優しく撫でた。

「せっかく着物を新調したんだから、そのくらい挿しとけ。 可愛いよ」


舞は眉を潜めて、真っ赤になる。



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