第10章 Butterfly / 豊臣秀吉
慈しむように、優しく腹を撫でる。
すると、舞はその手に自分の手を重ねてきた。
「そうだよ。 秀吉さんは、もう勝手に死ねないんだよ」
「お前が俺に生きる価値をくれた。 お前だけじゃない、その子も…俺に帰る場所をくれた」
空いてる方の手で、舞の頭を撫でる。
柔らかな感触が心地いい。
「だから、お前達の為に生きるよ。 何処へ行っても、必ずお前達の所へ帰るから」
「うん……」
そう言う舞は、少し涙ぐんでいた。
それは喜びの涙と捉えて大丈夫だろう。
「ねぇ、男の子と女の子、どっちかな」
すると、舞は秀吉のほうを振り返りながら、いたずらっぽく笑った。
その顔も、また可愛いと思ったが、今は舞の話に乗る。
「舞にそっくりな女の子がいいな」
「えー、私は秀吉さん似の男の子がいい」
「別に、後継ぎとか気張る必要はないぞ?」
「そうだけど、秀吉さんに似たほうが、絶対格好いい子になるから」
(なんだ、その理由……)
ちょっと赤面しながらも、舞に負けじと言う。
「お前に似たほうが、絶対可愛くなるだろ」
「そ、そんなことないよ」
今度は舞が赤くなる番だ。
可愛くて仕方ないので、思わずその唇を塞いだ。
「ん……っ」
この機を逃す筈もなく。
秀吉は舞の後ろ頭を押さえると、舌を差し入れ、深く深く口付けた。