騎士のkissは雪より優しく【うたの☆プリンスさまっ♪ 】
第3章 Knocking on the mind
「はぁー、帰り遅くなっちゃったな…。」
外はいつの間にか暗くなっていて、そんな道を1人で歩くのは少しだけ心細い。
タッタッタッ…。
「…?」
誰か後ろを歩いているのか、足音が近くで聞こえる。
いや、まさかね…。
普通に歩いているだけで、別に着いてきている訳では無いだろう。
そうは考えたが、わたしが歩くスピードを変える度に聞こえてくる足音も変わるため、怖くなった。
「あのーっ…。」
急に後ろから声をかけられ、ビクリと肩が震えた。
けれどわたしは振り向かずに歩き続ける。
「そこのお姉さん、無視しないでよー。」
声からすると恐らくおじさんだろう。
足音が更に近づいている気がして、わたしは走って逃げた。
しかし、それでもまだ付いてくるので恐怖心からか、涙が出てきた。
ドンッ!!
こんな時に、正面から誰かとぶつかってしまった。
「…っ、すみません…!」
すると今度はその人にギュッと優しく抱き締められた。
「奏…。平気か?」
顔を上げると、心配そうにわたしを見つめる真斗が居た。
「怖かった…。」
真斗はわたしの涙を拭って
「お前を迎えに来たのだが…遅くなってしまって済まない。」
と大きな手でわたしの頭をゆっくりと撫でてくれた。
「ううん、大丈夫…!真斗が来てくれて良かった…。」
「では、帰るぞ。今日は少しだけ家に寄らせて欲しい。」
真斗は安心したように笑みを浮かべ、手を繋いだ。