第10章 おそ松さん《1》
日曜日の朝
平日の時間に設定していた目覚ましがけたたましく鳴る。
一度覚めてしまった目がもう一度閉まることはなく
仕方なく布団から出ると
大きく伸びをする。
テレビをつければ、いつものニュースよりも
砕けた情報番組が目に入る
久しぶりの1人の朝にのびのびとした時間を過ごしつつも
少しの心寂しさに、テレビの音量を少し上げた。
社会人になり6年目
私は高校を卒業した後就職し
人に恵まれ2年前から小さな会計事務所を始めた。
それなりに軌道に乗り、同い年の子に比べたら
それなりにいい給料を得ている。
が、もともとが几帳面ではない私は
仕事に追われ瞬く間に部屋をゴミ屋敷へと変え
強制退去をくらい、実家へと逃げ帰ったのが
半年ほど前。
親と、幼馴染からの提案で
赤塚駅の近くでマンションを借り
未だにニートを貫く幼馴染を、ホームキーパーとして
雇うことになった。
珍しいことに私の幼馴染は
6つ子で1人ずつ月曜日から金曜日まで
朝から昼過ぎまでの勤務で
朝ごはんから夜ご飯の準備、掃除洗濯を一式お願いしている。
は冷蔵庫から卵を取り出し
先ほどレンジで温めた冷凍のご飯の上に
割りいれる。チョロ松が買っておいてくれた
たまごかけご飯専用の醤油をご飯に垂らし
黄身を割りながら、口へ運ぶ。
『んー、久しぶりの卵かけ御飯♡』
生卵のにゅるんとした感覚が喉を通る
さすがチョロ松というべきか
の好みは把握済みなのか
鰹節の効いた醤油が、箸を進める。
食べ終わった茶碗を流しへと置くと
ごろりと、テレビの前のソファに寝転び
退屈な日曜日を過ごした。