第3章 おそ松さん
『ねぇ、お兄ちゃん大好きだよ』
暗闇の中から、愛しくてたまらない妹が
右にも左にも動けないこの状況で
甘く囁く
そっと、身体に手をまわすと
呼吸の度小さく上下に動く身体と
とくとくと彼女の身体を流れる血液の音が
自分の脳を支配する
このまま1つに溶けて仕舞えばいいのに
なんで実の妹をこんなに好きになってしまったのだろう
なんで6つ子なんだろう
容姿どころか、好みまで似ている自分達に嫌気を感じる
この腕の中にいる間だけは、と回した腕の力を強める
きっと、後の5人も同じことを思うんだろうと考えると
小さく笑みがこぼれた
『どうしたの?お兄ちゃん』
心配する瞳が見上げて来る
こんなにもおかしい僕を
僕達を〈お兄ちゃん〉と呼ぶ彼女の
唇を塞ぎ甘い口内を堪能する。
この目の前の妹は、どのお兄ちゃんに
甘く好きと囁いているのだろうか
そんな
馬鹿で優しい妹に依存していくのだ。