• テキストサイズ

マカロン

第2章 プロローグ


~~♪

舞衣からの着信だ

〈本日の交渉どうなりましたか?連絡がない様子ですとやはり、上手くいかなかったのでしょうか。
今からお勉強されるのですか?応援しています!
また明日、学校に玲奈の好きなあの店のマカロン持っていきますわね!〉

舞衣と連絡を取るといつも気が少し軽くなる。

生まれたときから交流があって、今もこうして付き合いがある。

それに、今のところ唯一私の雪生への進学を応援してくれている人だ。

さて、気も少し晴れたところで、お風呂に入る前にしっかり勉強しておかなければ。

***

やっぱり、ベルガモットが入っているときの湯船は最高。

ちょっとお嬢様っぽいことを話すと、花や果実や入浴剤を日替わりで湯船に入れている私の家。中でも私は柑橘類、特にベルガモットの香りが大好きでこのブルーな日にこの香りはすごくありがたい。無論、ボディーソープやボディーミルクなどは全てかんきつ系だけど。

「あの子、雪生に進学したいなんて言い出すのよ」

「別に月生のままでいいじゃないか」

書斎から、母と父の会話が聞こえてきた。

すぐに私のことだと察しがついた。

「でしょう?それに受けて万が一落ちたりなんかしたら」

「神崎の名に傷がつく」

「あの子は自分のことしか考えてないんですもの」

「勉強しなくたって、二階堂か常盤の家に嫁ぐ身だ。気にする必要などないのに」

しばらく聞いていようと思ったが、涙が溢れそうになり、その場を離れた。

部屋に戻ると途端に抑えていた涙があふれだしてきた。

身体に残るベルガモットの香りはもう、私を癒してはくれなかった。
/ 8ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp