第2章 プロローグ
これはまだ、私が高校に入学する前、もっと言えば中学2年生の時の話…。
「私、鳳学園の高等部に再入学する」
「何言ってるの!あなたはそのままいれば鳳学園高等部、そして鳳学院大学に進学できるのよ」
今は母と口論の真っただ中。
どうしてこうなったのか。私は有名私立中学の鳳学園中等部に通っているが、実はこの学校、高等部から入学してきた人たちのクラスはトップクラスの秀才ばかりと有名で、高校受験も倍率が私立にもかかわらず5、6倍になる名門校。高等部から入ってきた人たちは雪生と呼ばれ、幼稚園もしくは初等部から上がった人は月生と呼ばれる
しかし中等部には幼稚園もしくは初等部から入っているお嬢様、お坊ちゃま、月生と呼ばれるいわゆる金持ちが集まっている。
この学園に入っておけば、大学まで保証されて将来安泰と言われるが、私はこの月生があまり好きではない。
定期考査でも高校で言う赤点は山ほどいて、他の中高一貫の私立高と同じ教材で勉強しているが、やる気があるのは一握り。
そんな環境が嫌で高校からは鳳学園のエリートクラス、雪生に再入学したいと母に頼んだらこうなった…。
「あんな、緩くて勉強のやる気もなくて、図書室でお茶しようとしてる人たちと同じクラスなんて嫌」
「でも、あなた、高等部の雪生になることがどれだけ難しいか知ってるの?」
「私立高校なのに受験倍率は5倍を超える。クラスは金持ちクラスもだけど、成績上位者からクラス分けされる。偏差値は毎年70を超える。それくらい知ってる」
「そんなところに入れるとでも思ってるの?」
「だから家庭教師を頼もうと思ってる」
「別にそんなことしなくたって安泰なんだから諦めなさい」
「お金はあるのになんでそういうところばっかりケチるの」
「ケチってなんかないわよ。ほら、私は次の仕事があるからどいて」
そう言い放って母は私を押しのけ玄関を出て行った。