第1章 始まり──１０年前

そして数日後。

「工藤瀬里奈です！よろしくお願いします！」

米国帰りの新一の姉として、私は帝丹小学校４年Ａ組に転入した。

「どーだクラスは？」

帰り道、新一が訊いて来た。私が家までの帰り道をまだ覚えていないので、覚えるまでは新一と一緒に行くこと、と優作さん──お父さんに命じられたのだ。

「んーまぁまぁかな。みんな明るくて話しやすいし」
「よかったじゃねーか」

新一が笑った。私も笑い、新一の隣にいる女の子２人に目をやった。

「……ところで、この２人は？」

私が指すと、新一が答えるよりも早く、黒髪ロングの女の子の方が自己紹介してくれた。

「あ、新一から聞いてます！私は毛利蘭って言います、よろしくお願いします！」
「私は鈴木園子でーっす！」

聞けば、蘭ちゃんは新一と幼馴染で、園子ちゃんは蘭ちゃんと親友らしい。

「そうなんだ。蘭ちゃん、園子ちゃん、いつも新一と一緒にいてくれてありがとう。これからよろしくね」

ニコッと笑ってそう言うと、蘭ちゃんと園子ちゃんは私の方をみてキラキラと目を輝かせた。

「え……っと、２人共？」
「瀬里奈お姉さん……めっちゃ可愛い！」
「きゃ!?」

園子ちゃんがガバッと抱きついて来た。蘭ちゃんの方を見ると、彼女は抱きついては来ないものの、やはり目をキラキラとさせている。
新一の方を見て助けを求めるが、新一はニヤニヤとしたまま助ける気配もそぶりもない。
とりあえず……「ごめんね園子ちゃん？歩けないから離してもらえるかな？」やんわりと言って園子ちゃんを引っぺがした。

「でもアメリカ帰りとかすごーい！」

だが２人のテンションは下がる気配はない。私はとりあえず新一と一緒に家路を急いだ。