第28章 緋色──Rye, Bourbon, Russian
あの後、キャメル捜査官の袖口に取り付けた盗聴器はきっちり回収し、私はマネージャーの車で家に帰った。
そしてそんな話を聞いた次の日。
(……そーいえばお父さんマカデミー賞の最優秀脚本賞にノミネートされてるんだっけ……)
一応、とTVの録画を設定し、桂羅兄と他愛もない話をしていると──
ピーンポーン……。
話が盛り上がっている所に玄関のチャイムが鳴った。
「はぁーい……」
こんな時間から誰だろう、と思いつつドアを開けると──
「……えっ!何でここに──!?」
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
その日の夜。
マカデミー賞が始まった。
《では、まずは助演男優賞から……。プレゼンターは昨年の受賞者……ジョニー・ビップさんです!》
ワァァ、とTVの中で歓声が響く。と、その
時──
ピンポーン。
マカデミー賞を私や桂羅兄と一緒に見ていた昴さんが応対に出た。
私と桂羅兄も気になって一緒についていく。
玄関先にいたのは──
「こんばんは……初めまして……。安室透です……」
私立探偵・安室透こと組織の一員・バーボンだった。
「はぁ……」
「でも……初めましてじゃ……ありませんよね?」
安室さんはニヤリ、と怖い笑みを浮かべる。
その笑みを見た瞬間、私の背筋はゾクリと震えた。
「少し話をしたいんですが……中に入っても構いませんか?」
ちらりと私と桂羅兄に視線を向けた後、安室さんは昴さんにそう尋ねた。
昴さんは安室さん“だけ”ならいいと言い、外に控えているであろう彼の仲間達は招き入れることはしないと言外に言った。
安室さんを招き入れた後、私は何も言わずにスッとキッチンに消えた。
その頃、ある峠道では──
「ら、来葉峠?」
1台のベンツが道路を走っていた。
ハンドルを握るのはFBI捜査官のアンドレ・キャメルだ。
「赤井さんが奴らに殺された場所に今から行くんですか!?」
キャメルにそう尋ねられたジョディは「ええ……」と怖い顔で頷いた。
「行けば何か掴める気がするのよ……」
ジョディは今までのコナンの態度を見ていて、「絶対に何かある」と確信を持っていた。