第24章 甘く冷たい宅急便──悪夢
「瀬里奈姉ちゃん……この人誰?」
あ、そっか。紹介してなかった。←
「そっか、みんな知らないんだよね……。この人は手波桂羅。私の遠い遠い親戚です」
「初めまして、手波桂羅です。よろしゅうな」
「彼は京都出身だから……京都弁を話すのよ。まぁ、気にしないであげて?」
怪訝な顔をするコナン君と博士を放置し、私達はケーキ作りを再開した。
数十分後に出来たのは、綺麗にデコレーションされたホールケーキ。
「ほい!これで出来上がりよ。召し上がれ!」
私はケーキを6等分して皿に盛り付けた。フォークを取り出し、お茶のポットをそばに置く。
「カモミールティー、まだ飲んでるんか?」
「ん、好きだから。美味しいよね、このお茶」
ふふっと笑うと、桂羅兄は私の頭を優しく撫でた。
「……今日ね、兄さんに会った」
「……!ホンマか?」
一瞬表情が強張った桂羅兄。
私はこくりと頷く。
「うん……。私を傷付ける人は許さないって……言ってたよ」
「瀬戸矢の奴……何考えてるんや」
「私もそう思うけど……。何か、近々会いに来そうで怖い……」
「そやな……引っ越すか?」
「やだ」
「言うと思ったわ……」
そんな他愛もない(本当にないのか?)会話をしていると、ふとコナン君と目が合った。
口パクで『後で話聞かせろよ』と言われる。
うーわ、面倒臭い……。←
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「「「ごちそうさまでしたー!」」」
子供達が眩しいくらいの笑顔でそう言った。作った甲斐がある、と思いつつ私も笑って「お粗末さまでした」と答える。
桂羅兄が食器を下げてくれるので、私がそれを受け取って洗った。
「2人共何か新婚さんみたーい!」
歩美ちゃんがいきなりそんなことを言って来た。当然私達2人はぎょっとする。
「し、新婚!?歩美ちゃん何言ってんのかな!?」
「そ、そやで君!びっくりしはるやろが!」
大の大人がそんな風にあたふたするのが面白かったのだろう、子供達はあははーっと笑った。
「もー、いいから帰んな!もう夕方だし」
「あ、ボク瀬里奈姉ちゃんとお話ししたいな!」
すかさず割り込むコナン君。
子供達も「お話ししたい」と騒ぐが、それを何とか宥め、家には私と桂羅兄、コナン君と哀ちゃん、博士が残った。