第24章 甘く冷たい宅急便──悪夢
『cor』と『P』と『se』を合わせると、『corpse』──死体になる。加えて猫の首輪が冷たかったとなれば、考えられるのは冷凍庫や冷凍車。
そういえば……今日、博士がコナン君達の帰宅に合わせてケーキを届けてもらうとか言ってたな。コナン君なら、万が一も考えて昴さんにも助けを求めるはず。
てことは宅配業者のクール便か。
「……よし、行くか」
私はとりあえず自宅の前に向かうことにした。
家の前に向かうと、ちょうど宅配業者のクール便のトラックが停まっていた。
「あのー、すいません……」
ちょうどコンテナを開けている業者の人がいたので、声をかけてみる。
業者の2人は勢いよくこちらを振り向いた。
「あら、君達……。何してるの、そんな所で……」
「お姉さん!」
「助けてくれェ!」
歩美ちゃんと元太君がそう叫ぶ。と、2人の内、痩せ型の男が懐からナイフを取り出した。
「!?」
一瞬怯んだ隙を突かれ、私は男に拘束された。
「このガキ共と知り合いなら、殺すしかねーな……」
男の言葉に、私はフッと息を漏らした。
トラックの後ろでパッパァー、とクラクションが鳴らされる。
「すみませーん!この路地狭いので……譲ってもらえますか?傷付けたくないので!」
「あ、安室さんちょっと待ってて」
私は割と冷静に声をかけた。そして後ろの男に一言。
「自業自得☆」
片足を後ろに振り上げ、男性の弱点を思い切り蹴り飛ばす。
男が悶えている隙に懐から抜け出した。その一連の動作の中でナイフが頬をかすめる。
「いっ……」
私は思わず顔をしかめた。安室さんとコナン君の表情が一変する。安室さんが男に一撃を喰らわせようとした時──
「……瀬里奈を傷付ける奴は、殺す」
──え?
見覚えのある顔が私の横を通った。
そう、彼は──
「瀬戸矢……兄さん」
私の兄だった。