第23章 服部平次と吸血鬼館
そしてその死体のそばに置いてあったはず……。
旦那様の携帯電話と冷凍庫の鍵、トンネルの起爆スイッチと一緒に──この連続殺人の計画書が。
そう話すと、羽川さんが「み、見て来たようなこと言ってんじゃねぇよ!」とキレた。
そんな彼の後ろからコナン君が言った。
「だってこの連続殺人って……旦那様の首を切断しなきゃ出来ないトリックでいっぱいだから……。あの南蛮部屋のギロチンを使って首をはねたのは間違いないよ!」
私も口を添える。
「その1つが棺桶の中の旦那様が突然消えたトリック……。旦那様が自分でやったなら簡単だけど、誰かが死体を使ってやったのなら、首だけじゃないと出来ないから……」
棺桶で死んでいる旦那様の見て悲鳴を上げた私達の所に、2人はすぐに駆け付けてくれたけれど、羽川さんはこっそり下の物置に行き、隠し通路から遺体の首を回収したのだ。
体も本物だったら棺桶の下から引きずり出す時に揺れたら音がしてバレてしまうから、私達が見たのは首から下は詰め物の体。
そしてリモコンで棺桶の蓋のロックを解除して、消えた旦那様にみんなが驚いている隙に写真を撮った部屋の隣のクローゼットに首を持って行ったのだろう。
そんな事をやっていたから、棺桶の部屋に来るのがみんなより遅れたというわけだ。
「その心霊写真……マジックミラーの脇におったあんたなら、自分の体の位置で隣の守与さんが鏡にかぶらんように出来るし……。あん時、クローゼットん中の旦那様の顔を照らすライトのリモコンを持っとったら……うまいタイミングで旦那さんの顔を浮かび上がらせられるしのォ!」
そして首を使った最後のトリックは、食堂の窓に逆さになって現れた旦那様。
まず、煙草部屋で麻信さんが来るのを待っていた羽川さんは隙を見て麻信さんの頚動脈を切り裂いて殺した後、釣り糸を煙草部屋の雨戸の蝶番に通していたの両端をしたの食堂の窓まで垂らす。
窓を開けたら糸が外れて首が下に落ちるよう、その片方の先に旦那様の首を付け、もう片方の先を食堂の窓枠に引っ掛けたのだ。
「ちょ、ちょっと待て!俺が窓を開けた時、頭は上に消えたじゃねぇか!?あれが頭だけだったんなら、上に誰かがいて引っ張り上げたんじゃねーのか?」
「凸レンズ……」
私はポツリと呟いた。