第23章 服部平次と吸血鬼館
──第三者side
稲妻が激しく光る中、寅倉家のメイドの桧原ひかるは1人廊下を歩いていた。
ふと、ポケットに入れた携帯が鳴る。
「あ、メール……。旦那様から?
『今朝、
話しそびれた大事な話を
南蛮部屋に
聞きに来ておくれ。
もちろん
誰にも気づかれずに
1人で来るように。──寅倉迫弥』……」
それを見たひかるは怪訝な顔をしていた。
(何の話だろ?もしかして旦那様は無事で真犯人を知ってるとか?でもかなりヴァンパイアっぽかったけど……)
と、ひかるの背後に誰かがヌッと現れた。
「え!?」
後ろにいたのは執事の古賀。彼はひかるに静かにするようにジェスチャーをして、「少々お話が……」と切り出した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──瀬里奈side
「姉ちゃん、ヘアピンとか持ってるか?」
平次君に言われ、私は頷いた。
「もちろん♪こんなの久しぶりだから楽しみ
ね♪」
「楽しんでんなよな、ったく……」
コナン君に言われ、私はてへ、と舌をちろりと出した。
──蘭&和葉side
2人で餃子を作っていると、平次から電話が入った。
「え?うん……うん……任しとき……」
電話を切り、蘭と和葉は瀬里奈の元へ駆けつけた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──第三者side
「あのー……」
南蛮部屋。
ひかるは恐々、と言ったように声をかけた。
「旦那様……ひかるです……。メール見て来ましたよー……。旦那様?」
キィィィ、と扉が閉まる。と、懐中電灯の光がひかるをカッと照らした。
それにひかるの目が眩んでいる間に、真犯人がナイフを振りかざそうとする。
その時──
犯人のこめかみに、蘭の蹴りがクリーンヒットした。
犯人が痛がっている隙に和葉が犯人のナイフを持っていた方の手を引き寄せ、床に投げ飛ばす。
「あのー、大丈夫ですか?」
部屋の外からひょこっとひかるが顔を出す。
「ひかるさん!?何で来たんですか!」
部屋の中にいたひかる──瀬里奈は後ろを振り向いてしまった。
「出て来ちゃダメ!早く戻って!」
そんな話をしている内に犯人はどこかへ消えてしまった。
瀬里奈は急いで部屋を出て、例の場所へ向かった。