第5章 突然の遭遇──
トイレを出て中島さんと別れた。私がコナン君を待っていると、またあの大男を見かけた。
「瀬里奈姉ちゃん?」
「あ、コナン君。いや、さっきの男の人がね……」
大男は会社のエンブレムが入ったカバンを受け取っているところだった。
「会社の人じゃなさそうよね……?」
「ああ。でもオレらの知ったこっちゃねーよ」
素の喋り方に戻ったコナン君がガタガタと台を取り出した。
「何してるのコナン君?」
「おっちゃんに眠気覚ましのトマトジュースでも買ってやろうと思ってよ……」
「ふぅん……」
コナン君と会話していても目線は大男の方に向いたまま。
「あ、オレや……テキーラや……」
思わずコナン君の方を振り返る。コナン君も大男を驚いたように見ていた。
待って、組織の2人も酒の名前を……。付けられていたような……。
「取引は完了した……。ああ……抜かりはない……」
取引?まさか──
「フフ……心配すんなウォッカ……夕方までにはそっちに合流する……。ジンにそう伝えといてくれや……」
私はコナン君と顔を見合わせた。コナン君は驚き過ぎたのか、持っていた小銭を財布ごと落としてしまった。
「ちょっ、コナン君!?」
私は正直慌てたがコナン君は不敵に笑って、テキーラに接触を図っていた。
「ねぇちょっとおじさーん!この足どけてよー、ボクの10円玉とれないよー!」
テキーラは表情を崩さずにコナン君を蹴り飛ばした。
「しばかれんぞクソガキ!」
「わっ!」
「こ、コナン君!」
蹴り飛ばされたコナン君に慌てて近づく私。
「もう、何無茶してんのよ!?あの人黒ずくめの人達でしょ」
「いや……収穫あるかもだぜ」
「は?」
「さっき発信器と盗聴器を付けたんだ……これでジンとウォッカの所に行けるかもしれねぇ」
ニヤリ、と不敵に笑うコナン君に私は少し不安を抱えていた。もしこれでバレて殺されたらどうするんだか──
私は思わずきゅっとコナン君の服の裾を掴んだ。
「……?」
「どうしたの?」
「あいつ……『入れへん』とか言ってやがるんだ……ドアか?」
「さっきトイレ入ってったから……トイレじゃない?」
そう話していると、──カッと光が──
「!!?」
勢いよく爆音がした。私は咄嗟にコナン君を庇う。
「な、何!?」