第22章 怪盗キッドと赤面の人魚(ブラッシュマーメイド)
鈴木大博物館。
「さあさあお立ち会い!取り出しましたのは1本の缶コーラ!」
園子ちゃんが潰れた缶コーラを見せた。
「ご覧の通り潰れてて……中身はもう1滴も入っておりません!」
そして園子ちゃんはそれを手の上に乗せ、もう片方の手をかざした。すると──
「はっ!」
缶が元に戻った。
園子ちゃんがプルタブを指で撫でると、それも復活し……コーラもちゃんと入っているのだ。
(へぇ〜……なるほどね)
私はタネを見破り、くすっと笑った。キッドに見せて驚かせるため、という園子ちゃんの頑張りを無駄にしないようにタネは黙っておこうと思ったのに、このクソガキと来たら──
「全然、驚かないと思うよ!」
コナン君はさらりとそれを裏切った。
園子ちゃんの指には黒いシールが付いていて、缶には小さい穴が2つ空いていた跡がある。
多分、錐か何かで開けた穴からコーラを半分出し、缶を潰して穴を接着剤で潰したのだ。その後、缶の口が空いているように見せかけるために穴の所に黒いシールを貼れば……
「そっか!」
世良さんがハッと閃いた。
「中身が1滴も入ってないって見せる時に缶を強く振れば……コーラが泡立って炭酸ガスが発生し、そのガスの力でヘコミが戻り……指で缶の口をなぞってシールを剥がせば……。見事コーラが復活したように見えるってわけだねコナン君!」
私はコナン君の頭を軽く小突いた。
「こらこらコナン君?せっかく園子ちゃんが頑張ってくれたのに、それを無駄にするようなこと言っちゃダメでしょ?」
「お姉様……!」
園子ちゃんにキラキラした目で見られ、私はうっと後ろに後ずさった。
「それに、私とコナン君は鈴木相談役のご招待だし……てゆーか何で私まで?」
何となく蘭ちゃんに訊いてみる。
「お姉さんはキッドと親交があるらしいってことで……キッドの情報を流してもらうためって聞いてますけど……あと、お姉さんは有名人だから、ここの宣伝にもなるだろうって……」
「え〜?私そんなの聞いてない……」
というか、快斗とはこっそり会ってるはずなのに……。どこで掴んだんだ、その㊙︎情報。