第5章 突然の遭遇──
ある雨の日。
「え?米花ホテルに?」
蘭ちゃんに電話をもらった私はきょとんとして問い返した。
『そう!米花ホテル!一緒に来ませんか?』
「いいけど……何で?」
『それは現場で話します!とにかく来てください!』
そのまま電話はプツリと切れてしまった。ツーツーツーという無機質な音だけが聞こえる。
「……もぉ」
私は半ば呆れていたが、ため息を1つついてから支度をして、米花ホテルに向かった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「で?何でいきなり米花ホテル?」
「ボクも知りたーい」
私が訊くと、コナン君も蘭ちゃんを見上げて言った。
「実はね……」
蘭が言うには、小五郎が監修したゲームの発表会をこの米花ホテルで行うらしい。
「でもいいの?」
「その発表会に呼ばれた当の本人が……」
「「あんなんで……」」
私とコナン君は実に息ぴったりに小五郎を見た。蘭ちゃんが珍しそうな顔をする。
「コナン君とお姉さん息ぴったりー……」
「そ、そお?ありがと」
私がさらりとその場をかわす。そして蘭ちゃんは小五郎さんにものすごい剣幕で言った。
「まったくもー、昨夜に『前祝い』とか言ってあんなにいろんな酒飲むからよ!!」
「うるせーなー、軽く5、6杯あおっただけだよ……」
「ち、ちなみに何飲んだんですか?」
小五郎さんの顔色の悪さを見かね、私が口を挟む。小五郎さんは顔色を悪くしたまま答えた。
「えーっと、ジンにウォッカにバーボンに……」
「「え?」」
またコナン君と私でハモった。
「ちょっと新一?どうしたのよ変な顔して」
「瀬里奈、オメーこそだろ」
コナン君はそう言いながらも教えてくれた。
「ジンとウォッカはオレの体を薬で小さくした、黒ずくめの奴らのコードネームだよ……」
「え!?それどこで知ったのよ!」
驚く私にコナン君は怖い顔をしたまま答えた。
「前に新幹線が爆発で停まったって言ったろ?そん時に偶然会ったんだよ、奴らにな……」
「はぁぁぁ〜!?」
思わず大声を出してしまい、周りに不審な目で見られた。
「バカ、静かにしろよ!」
「何で私に教えてくれなかったのよ〜!?私も知りたかったのに!」
私がキャンキャン騒ぐ。コナン君は「あーうっせー」と耳をふさいだ。