第20章 漆黒の特急──ミステリートレイン
「まぁ、そんなことはどうでもいいのよ。話は聞き終わったの?」
そう尋ねると、世良さんが今までの調査で分かったことを簡潔にまとめて話してくれた。
「ふうん……5年前の火事、ねぇ……」
そして私達はA室の能登さんの部屋から順に訪ねることにした。
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「5年前の火事?それが私と4人のどんな関係があるというんだね?」
まずはA室の能登さん。彼は名古屋の友人と手合わせする約束をしていたらしい。
「じゃあちょっと廊下を走ってみてくれる?」
コナン君がそうお願いした。
案の定、能登さんが怪訝そうな顔をする。
「走る?」
「ボク達、犯人が走り去る後ろ姿を見たかもしれないから……おじさんが走るトコ……ムービーに撮らせてくれないかなぁ?」
能登さんの走る姿を撮らせてもらった後、向かったのはC室の安東さんの部屋。
「いかにも……私はあの火事で室橋さんと一緒に救助された安東ですが……。それは聞かれなかったから言わなかっただけで……」
世良さんが安東さんの部屋の中を覗き込んだ。
「それより、部屋の中にある大きな黒いカバン……何なんだ?」
「あれは鑑定を依頼されていた絵ですよ……残念ながら贋作でしたけど……」
その絵を見せてもらうと、ものすごく重かった。安東さん曰く、額縁が純金だからだそう。
「ちなみに、火事で亡くなった資産家さんとはどういう関係なんですか?」
私が訊くと、安東さんは少し驚いたような顔をした。
「?」
「あ、いえ……。有名人だったので、つい」
「そうですか。で?どういうご関係ですか?」
私が再び尋ねると、安東さんはきちんと答えてくれた。
「あの方は名画コレクターでしたので、数多くの絵画を紹介させていただきました……。そのほとんどが火事で焼けてしまいましたが……」
コナン君が絵を触りながら安東さんに言った。
「でもこんな重いの1人で運ぶなんて、おじさん体力あるんだね!」
「ま、まぁ……」
「じゃあちょっと廊下を走ってみてよ!」