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白い雪【名探偵コナン】

第20章 漆黒の特急──ミステリートレイン


──瀬里奈side

「桂羅君を?」

その日、私は家に来たお母さんと昴さんに大まかな事情を説明した。
組織では彼──桂羅兄は死んだことになっていること、彼が生きているのは組織の人間にバレてはいけないことなどなど。

「で、匿うならここが1番安全だと思うから……。ダメですか?」

そう訊くと、昴さんもお母さんもあっさりOKしてくれた。

「瀬里ちゃんがそこまでして守ろうとしてる子だもの!信頼してるってことでしょ?」
「お母さん……!」

私は嬉しくなって、お母さんに抱きついた。
そして、私とお母さんは桂羅兄を連れて洗面所へ行き、変装を施した。ついでに昴さんの変装用のマスクも替える。

「……あんたも変装なんか?」
「まあ、そうだな。だが瀬里奈」
「ほえ?」
「ここに住むなら……あのボウヤに言わなくていいのか?」
「……あ」

マスクを外した昴さん──いや、赤井さんは道具を持って来た私にそう言った。

「あー……。まぁ、いざとなったら私の親戚ってことで周りにはうまく言っておきますよ。イトコでもハトコでも」

そう言って笑う。
いつの間にか変装はもう終わっていたらしく、明るい色だった髪は黒髪になり、顔立ちは少し新一に似た感じになった。

「わっ、すごい!別人!」
「瀬里ちゃんの親戚ってことになるなら、新ちゃんの親戚でもあるからね……。そんな風に装っておいて損はないでしょ?」
「さっすがお母さん!ナイス変装術!」

私は親指をグッと立てた。
残る問題は声だが──

「俺と同じ変声機じゃダメなのか?」
「んー……家に住んでる3人の内2人が詰め襟だとさすがに怪しまれませんか?」
「まあ大丈夫やろ」

桂羅兄はあっさりそう言った。

「オレが死んだことになっとったんは12の時やし……声変わりも始まってるしな」
「でも声紋取られたら……」
「平気やろ?たぶんやけどな」
「もぉ……」

私は軽くため息をついた。
とりあえず、ということで私と桂羅兄は服を買いに出かけることにした。

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