第19章 探偵たちの夜想曲(ノクターン)
──第三者side
《これが今回公開された、3人組の強盗犯の映像です。なお、この3人組は未だ逃走中で……》
「朝からこのニュースばっかだな……」
小五郎が事務所のソファに座り、テレビを見ながらそう言った。
「仕方ないよ……この事件が起きてから1週間経ってないし……。銀行員の1人が撃たれて亡くなったらしいし……」
小五郎の左斜め後ろに立つ蘭がそう言った。小五郎はタバコに火をつけながら言う。
「ああ……。カッコつけて強盗犯に刃向かったから殺られちまったんだったか?」
「刃向かったんじゃないと思うよ……」
コナンが小五郎の傍らから口を出した。そして両手を挙げて話す。
「その時、銀行にいたお客さん達の話だと……こう両手を挙げて『OK!もう止めてくれ!』って犯人を宥めようとしてたみたいだし……」
「でもそれで逆に犯人の怒りを買って撃たれたんだから同じだっつーの!」
「しかし悪いことは出来ませんねぇ……」
後ろから若い男の声がかかった。
「強奪した2億円のほとんどは本店から搬入されたばかりの新札で、紙幣の記番号が丸分かりだったんですから……」
「ああ……。使うに使えねぇ金をつかまされたその強盗犯が捕まるのも時間の問題……」
小五郎はそこまで言って後ろをぎょっと振り向いた。
「──って何でお前がここに!?」
「お世話になっている毛利先生にサンドイッチのサービスを!もちろんお代は僕持ちで……」
そう言う安室の手には大皿に乗ったサンドイッチが。
蘭が声を弾ませた。
「私達の分もあるんですか?」
「はい!皿の返却はいつでもOKですから……」
そんな彼を見たコナンは(自由だなコイツ……)と呆れ眼を向けた。
「それで?今日来られる依頼人はどんな事件を?」
「え?何で知ってんだ?そんなこと……」
小五郎がきょとんとして問う。
「そりゃー分かりますよ!休日のお昼といったら、大概先生は競馬新聞を手にダラってしてらっしゃるのに……今日は無精髭を剃り、ネクタイをきちんと締めて、誰かが訪ねてくるのを待ち構えているご様子!
しかも、この時間は沖野ヨーコのライブのオンエア中……。それにも目もくれずに神経を研ぎ澄ましているということは……かなりの大事件じゃないですか?」
安室がそう言うと、小五郎は何かに気づいたように「あ……」となった。