第4章 物語の始まりへ
なんで私の名前を、と訝っていると、阿笠博士が横から口添えしてきた。
「この子は新一じゃよ。ワシが保証する」
とにかく中へ、と言われ私は渋々2人を家にあげた。
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「本当に新一なわけ?」
「だからそうだって言ってんだろ!?オメー疑り深ぇのな」
「……その口調は新一ね」
「オメーどこで人判断してんだよ」
新一が呆れたような声を出す。見れば見るほど出会った頃の新一そっくりだ。
「それで?何がどうしてこんな小さくなっちゃったわけ?まさか魔法で、とか言わないわよね?」
「バーロ、魔法じゃねーよ。どっちかってーと薬だな」
「薬ィ?」
私は思いっきり怪訝な声を出した。
「薬で縮んだの?」
「そーゆーことだよ。黒ずくめの奴らに変な薬飲まされて、目が覚めたらコレだ」
「黒ずくめ……ね」
新一はガサガサと子供の頃の服を引っ張り出し、試着してみる。ちょうどぴったりすぎて私はくすっと笑った。
「笑ってんなよ」
新一はよほど恥ずかしいのか、私を赤い顔で睨んだ。それを「ハイハイ」と軽くあしらいながら書斎に向かう。
「でも新一?黒ずくめの人達って新一を殺したと思ってるんでしょう?」
「みてーだな」
「だったら余計に私たち以外にヘタに正体ばらすことはしない方が懸命なんじゃない?」
そう提案する私に新一は「なんで」と言わんばかりの渋面だった。
「ヘタに他の人に喋っちゃって、それがその人達に知れたら……新一はもちろん、周りの人もみんな殺されちゃうんじゃない?秘密を知ってる博士や私はもちろん、蘭ちゃんや小五郎さん、英理さんも園子ちゃんもみーんな、ね」
私の言葉に博士も頷いた。
「このことはワシと新一、そして瀬里奈君の3人だけの秘密じゃ。誰にも言うでないぞ、もちろん蘭君にも……」
「あ、ああ……」
新一が頷いた時、
「新一〜?いるの?」
蘭ちゃんの声がした。
げっ、と3人で心の声をあげた。顔を見合わせて相談する。
(ま、まずいよコレは!どうしよう!)
(と、とにかく新一を隠そう!ほれ、早く隠れろ!)
(隠れるっつったってここじゃ……)
(早く!その机の陰にでも!)
そんなやり取りを約1、2秒で済ませ、新一を机の陰に隠す。そこでギリギリ蘭ちゃんが書斎に入ってきた。