第17章 赤と黒のクラッシュ──Kir
──第三者side
ドン!
水無と赤井、2人きりの来葉峠に銃声が響いた。
一拍、二拍、三拍。
そして──
赤井が口から血を流した。
撃たれて力が入らないのか、赤井は車に寄りかかる。
彼はポルシェ356Aを視界に入れた時、ニヤリと笑った。
水無が耳につけているイヤホンからジンの声が聞こえる。
《どうしたキール……早く止めを刺せ!》
「でも、肺を撃ち抜いたから放っておいても後30分程度で……」
《頭だ……》
そう話すキールに、ジンの非情な命令が下る。
《頭に弾丸をぶち込め!それでそいつの息の根は……完全に停止する……》
「……。了解……」
そう言い、水無は赤井に近づいた。そして銃口を彼の頭に向ける。
「フン……」
赤井は鼻で笑った。
「まさかここまでとはな……」
その言葉に、水無も笑って答える。
「私も驚いたわ……こんなにうまく行くなんて……」
そしてキールは引き金を引いた。
それを画面越しに確認したジンはニヤリと笑う。と、警察がサイレンを鳴らしてこちらへ走って来ていた。
《キール!後始末してズラかれ!》
「了解……」
水無は爆弾のタイマーをセットし、赤井の死体のそばにおいた。
そして数字がゼロになり──
ドォン!
車は炎上した。死体のポケットにある携帯が着信音を鳴らしていた──
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──瀬里奈side
「──ったく……何で出ないのよ!?」
ジョディさんはコナン君に借りた携帯で赤井さんに電話をかけていたらしいが、赤井さんがなかなか出ないためイライラしているようだ。
と、私の携帯がブルった。このパターンはメールか。
メールを開くと、──「えっ!?」
「嘘……」
「瀬里奈姉ちゃん?どうしたの?」
コナン君に顔を覗き込まれる。私はニコリと笑みを貼り付けて言った。
「何でもない。さ、今日は13日の金曜日よ?子供は早く帰って寝なさい……」
きっと、今の私はひどい顔をしている。
だって、信じられないんだもの……
──赤井さんが死んだなんて。