第16章 映画編・迷宮の十字路 〜後編〜
平次は咄嗟に刀の入った引き出しごと引っ張り出した。
そして西条に向かって投げるが、刀は宙に浮き──平次はそれを手に取った。
そして西条の刀を受け止める。そして刀を覆っていた鞘が壊れ、出てきたのは──
「この表裏揃うた独特の刃紋……。妖刀“村正”やな……!?」
そして西条が後ろに飛び退く。
「義経に取り憑かれたバケモン斬るには、丁度ええ刀やで!」
「……っ、何ィ!?」
カッとなって向かって来る西条をすれ違いざまにかわし、建物の外に出た。
「ええか、オレがアイツを引き付ける!その隙にお前は逃げ!」
「嫌や!アタシも一緒に……」
「俺の言うことを聞けっ!」
平次にそう言われ、和葉はハッとした。
弟子達が「いたぞ!」と声をかけ、和葉はダッと駆け出した。平次も和葉とは別方向に駆け出す。
「お前達は娘を追わんかい!」
西条に言われ、中にいた4人が和葉を追って行った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
──瀬里奈side
何だか騒がしくなってきた。何──?
目をうっすら開けると、腹部に鈍い痛みが襲ってきた。
「く……っ」
ああそうだ、確か西条に腹を殴られて、そのまま気絶してしまったんだ──
ぼんやりとした視界の中で見えたのは──「へ、平次……君?和葉ちゃんも……」
2人は別方向に駆け出した。和葉ちゃんがこちらに気づいたのか駆け寄って来る。
「瀬里奈さん!?どないしたんこんな所で!」
「か……和葉ちゃん……。ごめん、私……止められなくて……」
「そんなんどうでもええ!早よ逃げよ!」
和葉ちゃんが私に肩を貸してくれた。
その間にも弟子達が追いすがってくる。私も体の痛みと体力の限界で刀は握れないし、和葉ちゃんは私を支えて走るので精一杯。
(……ッ、やばい……!)
そう思った時、火のついた松明が弟子達を襲った。
「コナン君!」
……新一?