第16章 映画編・迷宮の十字路 〜後編〜
──第三者side
蘭は玉龍寺に向かう道をひたすらに走っていた。
「おい、おったか!」
その声にびくりと足を止める。「捜せ!」などという荒々しい男の声が聞こえる中、蘭は木の陰に隠れ、「何が……」と呟いた。そこへ──
ガッと口を塞がれる。
「!?」
暴れようとするが、「しっ!静かに……じっとしてろ……」という懐かしい声に言われ、ぴたりと動きを止めた。
男達の声が遠ざかり、蘭を捕まえていた腕の拘束が緩む。
月明かりに照らされたその影は──
「新一!」
新一だった。
「どうしたの?新一……汗びっしょり」
それを見かねてか、蘭は新一の汗を拭いてやった。
「それに何なの?さっきの人達……」
蘭がそこまで聞くと、新一は蘭の体に麻酔銃を撃ち込んだ。
(悪ィな、蘭……)
新一は申し訳なさそうな顔をしていたが、すぐに薬の発作が起きてしまい、新一は蘭を木にもたれるようにして座らせた。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
バタバタバタ、と平次と和葉は寺の中を走り回る。
やがてある部屋に辿り着き、そこに立て籠もった。
弟子達や西条が扉を蹴破ろうとするが、「斧持って来い!」という西条の命令により、破られるのも時間の問題だということが分かってしまった。
「この畳の匂い……アタシが押し込められとった部屋や!」
そして、2人が見たものとは──