第12章 黒の組織と真っ向勝負 満月の夜の二元ミステリー
ある日の朝。
私があくびを噛み殺しながらポストを覗くと、──「……あら」
いつも届くダイレクトメール以外にも何通か──『工藤新一様』『工藤瀬里奈様』と書かれた手紙があった。
私は自分宛の手紙とダイレクトメールを持って家に帰った。どうせ新一宛の手紙は本人が持って行くんだろうから。
家に帰った私は、リビングのソファに座って手紙を開けた。
「えっと……これは招待状かしら?──『季節外れのハロウィンパーティ』……?」
1通目には招待状が入っていた。『季節外れのハロウィンパーティ』への招待状。
「へぇ、仮装をして行くんだ……同伴者もスーツやドレスなどの正装なのね……」
そして、もう1通は──
「こっちがあの人が言ってた『お遊び』の手紙ね」
そう言いながら私は手紙を開いた。
封筒には『工藤瀬里奈様』と書かれていたが、便箋の宛名は──
「『親愛なるRussianへ』って……」
ふざけてるのか、あの人は!私は大きくため息をついた。
「あーもうっ」と私が頭をガシガシと掻く。そこへ──
ピーンポーン。
玄関のチャイムが鳴った。
「はぁーい」
ベルモットの手紙で、すこぶる機嫌が悪くなっていた私は眉間にシワを刻みながら玄関に向かった。
「どちら様で── ……えっ!?」
私は玄関にいた人物を見て、言葉を失った。
「何で──!?」