第11章 揺れる警視庁1200万人の人質
「あれ、今日……」
街を散歩していた私はきょとんとした。道路が通行止になっており、両脇にはものすごい人の数。刑事もたくさんいるようだ。
「何これ……」
驚きつつもネットで調べてみると、なるほど。東京スピリッツが初めてJ1を制したからか。毎年優勝候補として騒がれていたのに、なかなか優勝をもぎ取れなかったから。
「だからパレードなのね……」
私は呆然としつつ呟いた。
「……ん、あれって……」
私は人だかりの中に見知った顔を見つけ、駆け寄った。
「コナン君!博士に哀ちゃん、少年探偵団のみんなも!」
声をかけると、子供達は嬉しそうに駆け寄って来てくれた。
「あっ、瀬里奈お姉さんだー!」
「瀬里奈姉ちゃんどうしたの?」
コナン君に問われ、私は「散歩してたらここに来てねー」とあっさり。
「まさかこんなパレードやってるなんて思わなかったからさ」
「姉ちゃんパレード知らなかったのか!?」
元太君に信じられない、というかのように言われる。私は困ったように笑った。
「しょうがないでしょー?私サッカーには全然興味ないし」
「もったいないですよー……」
そう言った子供達は私の横をすり抜けた。「わっ!?」そして元太君が空き缶入れの上に乗る。
「ちょ、ちょっと!?危ないから降りなさい!」
戸惑う私に哀ちゃんが口添えする。「あの子達パレードが見たいのよ」
だが空き缶入れに乗ってもパレードはなかなか見えないようで、子供達は考えあぐねた末に1つの結論に辿り着いた。
近くに郵便ポストを見つけ、その上に元太君が四つん這いになり、さらにその上に光彦君が乗るという作戦である。確かにそれなら見えそうだが……。
「……危ないよね、あれ」
「……だな」
「分かってんなら止めなさいよ」
私が苦笑すると、どこからか声がかかった。
「コラ!! ダメよ!そんな所に乗っちゃ!」
博士が「すみません……」と叱った女性に謝りながら光彦君を降ろす。元太君がポストから降りながら文句を垂らした。
「ちょっとくらいいーじゃんかよオバサン!」
……うわあ、女の人捕まえてオバサン呼ばわりか。案の定、女性は「オバサンはないだろう」と呆れたように言った。
「言うこと聞かないと……逮捕しちゃうわよ♡」