第9章 バトルゲーム 〜謎めいた乗客〜
──その日、私は昼過ぎまでポアロのシフトが入っていた。
「瀬里奈さん、そろそろ上がっていいですよー!」
「あ、はい!」
梓さんに言われ、倉庫の整理を手早く終わらせた。「じゃあお先失礼しまーす」私はエプロンを片付け、ポニーテールにしていた髪をほどく。
「んー……よく働いた」
ポアロを出た私は、ぐーっと背伸びをしながら歩いていた。
ふと、ゲームセンター行きたいなぁ……と思い、私は高校の時よく行っていたゲームセンターに向かった。そこで“彼女”と会うなんて夢にも思わずに──
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「うわー、変わってない……」
ゲームセンターに着いた私は思わず呟いた。
久しぶりに来たが、内装が少し変わったくらいで、他はほとんど変わっていない。
「あ、新しい機種のプリ出てるー」
私は高校の頃に戻ったかのように、うきうきとゲームセンター内を歩き回っている。と、後ろから不意に声がかかった。
「あれ、瀬里奈お姉さんじゃないですか?」
振り向くと蘭ちゃんと園子ちゃん、コナン君だった。後ろには外国人の女性もいる。
「あら、蘭ちゃん園子ちゃん!コナン君も」
「こんにちは瀬里奈姉ちゃん」
コナン君が挨拶をしてくる。私はニッコリ笑って「こんにちは」と答えた。
「何してるの?学校帰りでしょ」
「遊びに来てるんですよ!偶然ここでジョディ先生と会ったから4人で……」
園子ちゃんが女性を振り返った。女性──ジョディさんは私の手をしっかと握った。
「ジョディ・サンテミリオンでーす!」
「あ、工藤瀬里奈です。いつも蘭ちゃん達がお世話になってます」
私はぺこりと頭を下げた。ジョディさんは私を興味深そうに見つめている。
「よかったらー、私達と一緒に遊びまセンカー?」
ジョディさんにそう誘われるが、私はふるふると首を横に振った。
「いえ、せっかくみんなで来てるんだし……私は遠慮しておきます」
私はそう言うと、「じゃあ」と4人のもとを後にした。
ゲームセンターを出ると、携帯が着信のパターンで鳴った。
「はいもしもし?──今から?ええ、分かった……また後でね……」
私はそう言って電話を切る。そしてタクシーを拾い、ある場所へ向かった──