第1章 出会い
幼い頃の私は無知であった。
今の背の3分の2ほどの背丈の頃、村の子は外れにある泉へ立ち入ることを禁止されていた。
子供は禁止されたらその分だけ好奇心が湧くもので。
ある時、とても暑い日だった。
幼馴染のヨアニスと泉へと向かった。少しのパンと水、それとタオル。
大人たちが泉へ行くのを禁止するのは子供たちが溺れてしまうからだと考えいた。
暑さで思考力も落ち、禁止されていた水浴びをしようとなったのだ。
ジリジリと日差しが照るなかで私達は泉へと足を進めていた。
朝早くに出発したものの、場所がわからずかなり無駄に歩いたため、着いたのは日が一番高いところに上がっていた。
小鳥のさえずりと、風で揺れる木の葉の音と私達の上がった息しか聞こえない。
そこはとても澄んだ泉だった。魚はなぜかおらず、水に反射した光に思わず目を細めてしまった。
息を整え、目を光に慣らしたところで細めていた目を開いた。
やはり視界いっぱいに綺麗な泉が広がっていた。
思わず声を漏らしそうだが、さっき見た景色とどこか違う。
私達のいるところから一番遠いところに何かが横たわっていた。