第2章 狂い始めた歯車
潤side(4)
( ’ ◇’)「……人質さ、俺ひとりで十分じゃない?」
カズの横で、まぁは確かにそう言った。はじめは何かの間違えだと思ったけど、そうじゃなかった。
ふざけんなよ、と思ってしまった。今までなんだかんだ言ってるけど、まぁのことを本気で馬鹿にしたり、まぁに対して反抗したりしたことが一度もなかった。むしろどこかで尊敬していた。それは翔くんにも智兄に対してもそうだった。
(.゚ー゚)『今僕らは兄さん達になんにも返すことが出来ないからさ、迷惑をかけたり困らせたりすることだけはしないようにしようよ。』
まだ幼かった俺とカズは、兄貴たちに内緒でちっぽけな、でも大切な約束をした。
だけど今、俺は初めてまぁに対して反抗的な気持ちを抱いている。
でもそれは、単にイライラした感情から来たものではなかった。だからといって、その気持ちが何なのかわかるわけでもないんだけど。
?「ようやく出てきたと思ったら、いきなり我々に向けて兄弟愛を見せつけてくるとは、聞いて呆れますね。」
何の感情もこもっていない機械音があたりに響く。
( ’ ◇’)「当たり前だよ、俺は二人の兄貴だもん。これくらいのことはいくらだってするよ。」
いつも笑顔で明るいまーとは思えないくらい真剣な顔で話している。でも、まぁの手は小さく震えていた。
……まぁ、怖いんだろ?いつも見守っていてくれて何かあったら助けてくれる翔くんと智兄がいない今、俺らを守らないといけなき責任と自分を守るものがない不安に押しつぶされそうなのは多分まぁなのかもしれない。
?「……なら、こちらは別の手段に出るしかありませんね。」
そんなことも構わず彼らは言った。
別の手段?なんだそれ?
そんなものがあるのか?
考えてはみるものの、全く想像がつかなかった。むしろ考えたくなかったのかもしれない。
( ’ ◇’)「別の手段……?」
?「あなたのお兄さん……山風智さんと翔さんを
殺すってことですよ。」
待ち受けていたのは、あまりにも残酷な言葉だった。