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夢クラシ

第1章 振り払う手


「な、何よ、それ!」

言われた言葉に私はびっくりした。

かわいいなんて、はじめて言われたから…

電車が止まって、人が流れていく。

今までギュウギュウだったのが解放されて、

一気に体が軽くなる。

その瞬間

足の力が抜けた。

「おいあんた!!!」

起き上がろうとしても、力が入らない。

「あ、ごめん…。…っ立てない」

「言葉では怖くないって言っといて、体は恐がってんじゃん。」

返す言葉もない…。

私は俯いて、震える手を精一杯握る。

上で長い、空気が出ていく音が聞こえた。

「はーー。ほら。」

上を向くと、困った顔をした男の子が手を出した。

少し頬が赤くて、触ったらきっとあったかい。

「…なにしてんの。はやくしてよ。電車閉まるでしょ。」

「!!!」

(わたし、何考えてんの!?!?)

「…宜しくお願いします…」

この人に私の考えてたことが気づかれないように下を向いたまま手を置いた。

「ったく。」

強引にひっぱられた手は少し汗ばんでて、
その暖かさに胸がいっぱいになった。

(手なんて繋ぐの、ひさしぶり。)

きっと私の顔も赤い。
さっきみたこの人の顔より赤くなってると思う。

この人にも大切な人はいるのかな?

たった5分前に会っただけの人をこんなに気にすることがあるんだ。

「ねぇ、山代ってどこにあんの?」

「えっと、駅を右に曲がって、その後の信号を…」

「……めんどくせぇ」

「えっ?」

「いや、なんでもない。」

「?」

改札を抜けて、駅を出て、手を引かれるまま男の子は左に曲がる。

「ちょっ、待って!!反対だよ!」

「合ってる。」

「違う!!こっちだってば!!!」

「ぁああ!もう!めんどくせぇな!こっちでいいんだよ!」

「何考えてんの!?あなたが送ってくれるっていったんじゃん!」

「…送るとは言った。ただ、朝に間に合わせるとは言ってない。」

「……ねぇ、スタポがある方向、どこか知ってる?」

「…………………」

「…どっか連れてってくれるなら、先にスタポ行かせて。」

「……どうして?」

「あなたと行ってみたい(棒)」

「………あ、アッチ??」

指さした方向は、スタポがある方向とは真逆だった。

「……」

「……」

「……ねぇ、」

「…何も、言うまい…」

「…このまま遭難するつもり?」
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