第3章 【HQ】ダーリンは心配性!
「ま、さ、取り敢えず来週又いつもの時間にここで…」
及川がスプーンをカップに投げ出す。
店のピアニストが指がつかれたのか席を立ち店の端のスピーカーのスイッチを入れる。
途端、静かなピアノ演奏からチープな有線放送にBGMが切り替わった。
『あゝ、男の人って、数え切れない愛を持っているのね
あゝ、あちこちに振りまいてあたしを困らせるんだわーあゝ
あんまりフワフワしないで、あなたはいつでもウロウロ、余所見はだめゃ!
あたしが他より一番!一番好きよ!』
流れる歌謡曲に三人はため息をついてカバンを持つ。
『あゝ出来るなら。自分が一番だって素直に云いたい云われたい』一一と。