第1章 【黒バス】赤司くんでお願いします!
「可愛くないですよ!……見てくださいこの力こぶ!」
きゅっと拳を握り腕に力を入れる黒子。
そこにそっと触れ、筋を辿る赤司。
何の毛連もなく、ただ優しい笑顔で。
指が張り詰めた筋肉を撫でる。
「テツヤも、変わったんだなぁ……」
まるで木枯らしの様に風に溶ける呟きにふと黒子は赤司を抱き締めた。
「何だいテツヤ……嬉しいけれど君らしくないな」
黒子テツヤは影。
影は光に触れたりしない。
影と光はただ地で仕切られている。
「赤司くん……何と云って良いか分かりませんが……」
二人の間で二号がひゅんひゅん鳴く。
そんな二号を撫でながら赤司は笑う。
「嬉しかったんだ、テツヤ」
赤司の言葉に黒子は首を傾げた。
「何が、ですか」
「君が僕を選んでくれて」
赤司はどうやら昼の話をしているらしい。
黒子は頷き再び抱いた腕に力を入れる。