第6章 赤い人
「うひゃっ!いきなり何をするんですか⁉」
バタバタと暴れるもエースからしてはかわいらしい抵抗。
そのままぎゅーっとアリスを抱きしめる。
「ふぎゅう…」
布団の中から聞こえてくる面白い声にエースは笑いがこみあげてくる。
アリスは抵抗することをあきらめたのかエースに抱きしめられたまま大人しくなった。
それをいいことにエースはアリスの顔を布団から出した。
出てきたアリスの顔はまだほんのり赤かった。
「ははっ、アリスの顔リンゴみたいだな」
「ううっ///ほっといてくださいよぉ…」
も~!と言いながらエースの胸をポカポカと殴ってくるアリスがかわいくて仕方がなかった。
「ははっ、お前みたいな妹がいるから毎日楽しくって仕方がないよな!」
するとずっとエースの胸を叩いていたアリスの手がピタッと止まる。
「どういた?」
「いえ…」
なんででしょう?今胸がチクっとしました。
自分の身に何が起こっているのか分からないアリスはじっとエースの顔を見る。
「な、なんだ…?」
少し困ったような顔にきゅんと胸が高まったような気がします。
これは一体何なのでしょうか?
「おーい、アリス起きてるか?大好きなサッチさんだぞ~」
廊下からサッチの陽気な声が聞こえてきた。
「開いていますよ」
サッチさんはおいしそうなにおいとともに確認してから部屋に入ってきました。
「調子はどうだ?」
「はい、寝ていたら随分と楽になりました」
「それはよかった。一応薬と食べ物を持ってきたからよかったら食べてくれよな」
「わぁ!ありがとうございます」
サッチさんは出来立てホヤホヤの卵がゆを渡してくれました。
とてもおいしそうです!
ふと、いつもなら何かしら話しているエースが静かなのに気が付きチラッと見てみるとそこにはいかにも不機嫌ですと顔に書いてあるエースがいました。
サッチさんはその様子をみて何かを察したのか
「仕方がないやつだな。アリス、今日はエースと一緒にゆっくりしてろよ」
そういって部屋から出て行ってしまいました。