第6章 赤い人
そんな顔で見られては流石に断ることもできません。
私は覚悟を決めてゆっくり人間の姿に戻った。
流石の赤髪さんもびっくりしたようで、開いた口が塞がらない状態になっていた。
ううっ、やっぱりこういう反応は苦手です。
どうしても拒絶されないか心配してしまいます。
しばらくしても何も反応がなかったのでチラッと赤髪さんの様子を見てみると赤髪さんの目はキラキラしていた。
え…。
この反応はなんだか嫌な予感がいたします。
すると、ガシッという音がしたと思うと私は赤髪さんに思いっきり引っ張られ、気がつけば膝の上にいました。
「「「なっ⁉」」」
隊長さんたちは赤髪さんの行動に驚き、私は何が起こったのか全く分かっていません。
しばらく思考が停止しているとやっと頭が働き始めて、ようやく自分が膝の上にいることを理解した。
「あの…赤髪さん…?」
「気に入った!」
「ひっ⁉」
いきなり顔の近くで大きな声を出されたので、びっくり…。
心臓がバクバクしています。
「いつまでアリスにくっついているんだよ!」
ずっと私を話す様子がなかったので、エースが炎をまとって殴りかかってきました。
「って、ちょっとまってぇ~!!」
私が燃えるよぉぉぉ!
勿論、そんなことにならないように赤髪さんが私を抱っこしてよけてくれたんだけど…。
これ以上は耐えられなかったので、私は子猫の姿に戻り一目散にエースの腕の中に戻りました。
はぁ~、安心します。
「よしよし、怖かったな」
エースは優しい手つきで頭を撫ででくれます。
赤髪さんはマルコさん率いる他の隊長さんにボコボコにされていました。
お父さんはそれを当然のように見ていました。
怖いです…。
「おい、お前の名前はなんていうんだ?」
ボロボロになった顔で赤髪さんは私に名前を聞いてきました。
えっと、猫の姿では人の言葉は話せないんですよね。
それなら人間に戻ればいい話なんですけれども、今エースの腕の中に納まっているのでいきなり人間に戻るのはちょっと気が引けます。