第16章 告白成功率
今日は雨で、ますます人足は遠のくのだろう。
だけど、少しでも、お客様が来てくださるなら、しっかりと気を引き締めなければならない。
私は、手早く開店準備を済ませ、頭の赤いバンダナをしっかりと結び直して整えた。
そして、ドアにopenのプレートをかけて、いよいよ開店。
リズミカルな雨の音を聞きながら、今日は気長にお客様を待とう、と考えていると、開店から5分後
1人の男が、少し雨に濡れて入って来た。
「いらっしゃいませ」
声をかけて、近付くと、その男が、4日前にこの島にやって来た、バジル・ホーキンスという海賊だと気付く。
「ご注文は、何になさいますか?」
「………ふむ。」
このカフェにくる海賊は少ない。
だけど、お客様はしっかりともてなさないと。
そう思い、注文をたずねれば、ふむ、と言ったきり黙り込んでしまった。
とりあえず席に誘導して、タオルを取りに行き、サービスのコーヒーと共に差し出した。
「これは、」
不思議そうな顔でこちらを見上げるホーキンスが、整った顔立ちをしているのに気付いた。
「サービスです。少し濡れていらっしゃるので、タオルをどうぞ。」
笑顔でタオルを差し出した手を、つかまれて、困惑する。
どうしよう、何か怒らせただろうか。
一瞬、そんな考えが頭をよぎり、ホーキンスの顔を見つめるも、無表情でわからない。
「あの、どうかなさいましたか…?」
相手は海賊なのだし、おそるおそるたずねれば、ホーキンスは私の手をつかんだまま、静かな声で話し出した。