第39章 発覚
李蘭はみんなが協力的なことに安心したようで、表情を緩めた。
「…………………みなさん、ありがとうございます。
全く、我が主人の奔放な行動には、昔からよく悩まされていましたよ……………」
そして、珍しく愚痴を言った。
シスイ達は、李蘭も大変だな、と思って、それを黙って聞いていた。
が、それが間違いだった。
「…………それで、私は完全に、紅桔梗様に降りかかる埃を払う係に……………
…………大変でしたよ!
夜、森の中で野営していると、昼間にすれ違った人間の男がみんなやって来て、紅桔梗様にうだうだと戯言を…………
………私は一人一人記憶を書き換えて、紅桔梗様のことを忘れさせ、適当なところに移動させて…………
………………影分身が使えるようになってからは大分楽になりましたが、面倒臭いことこの上ありませんでした。
地味な姿に変化なされば良いのに、妾はありのままが良いのだ、とおっしゃって、素顔を晒していらっしゃいました。
しかも紅桔梗様は変に鈍感で、それが原因で付き纏われることに気がついていらっしゃらなかったのです。
…………まあ、ルナ様もそういうところはありますが。」
そう言って李蘭がはあああぁー、と深い溜息を吐く。
李蘭の愚痴が始まって、既に一時間が経過していた。
その勢いに、シスイ達は完全に流されていた。
那由他だけは、李蘭の言葉に涙ぐみ、うんうんと頷いていた。
他にも李蘭の苦労話は続いた。
妾の好き嫌いが激しかった話。
妾のパシリをやらされた話。
妾のワガママに付き合わされた話。
などなど。
内容はほとんどしょうもない話で、シスイ達は生温かい目で李蘭を見ていた。
李蘭はこの世界に生まれたときから真性の苦労人のようだ、と皆が思っていた。
李蘭の話は続き、その夜皆が布団に入ったときには、真夜中をとっくに過ぎてしまっていた。