第1章 12ヶ月の物語
あんが丸の手を握ったんを確認して
俺はやっと二人から目を離し
歩き出した……
これでええ…
あんとおった一年
口では言い表されへんほどたくさんの
幸せを俺はあんからもらった……
やから今度は
おれがあんを幸せにする番や……
涙腺が壊れたみたいに
次々に溢れてくる涙は
あんを好きやった俺の気持ちやから
なんも恥ずかしくなんてない
逆にこんなに人を愛せるって
かっこええやんか…俺(笑)
失うことが怖くてきつく握りしめてた拳を
やっと開くことができたんやから…
家に帰ると
スマホにあんからのメールが入ってた……
俺はそのメールを読まずに保護して
スマホをベッドに放り投げた……
今はまだ全然無理やけど…
いつか
あんを過去にすることが出来たら
このメールを笑顔で開こう
そう心に誓って
長くて苦しかった1日に
目を閉じた………