第1章 どうされたのですか?
わたくしが坊っちゃまの代わりに生徒会の残りの仕事を終え帰ろうとしたある土曜日のお昼の話なのですが、あんず様が1人泣きながら下駄箱で靴を履き替えておられました。
「こんにちは。どうされたのですか?あんず様。」
と声をかけてみますとあんず様が泣きながら
「なんでもない。」
と言われてしまいました。
そんな可愛らしい泣き顔で言われましても…心配です。
「話したくない内容でしたら申し訳ございません。」
と言うとあんず様は
「全然大丈夫だよ」
と泣きながら作り笑顔というものをしておりました。
やはりあんず様にいきなり聞いたのは申し訳なかったですね…
そんなことを思いながら靴を履き終えた途端…。
「…⁉︎」
急にわたくしは何者かに…いや、あんず様に手を引かれておりました。
「ど、どうされたのですか」
訳もわからず着きましたのは学校の近くの公園でした。
「ごめんなさい。ここなら落ち着くしゆっくり話せるかな。なんて、予定あったらごめんなさい。帰っていいよ…」
「尊い方の相談より大切な事はありません。予定があっても帰りませんよ」
今日は予定がありません。
しかし、あんず様は尊いお方なのでわたくしは予定があっても帰らず聞いていたでしょう。
「あんず様、改めてどうされたのですか?」