第2章 有終の美を貴女に 2
――キーンコーンカーンコーン、と五時のチャイムが鳴る。
気づくと、机にあった本の山は、もう殆ど読み尽くしてしまっていた。
「...すぅ、すぅ...んー... 」
他の部員など気にも留めず、雅は知らないうちに頬杖から形を変え、机に伏すようにして眠りについていた。
全く、黙ってさえいれば...。
そう思い、徐に彼女の頬に手を近づける。
白く、きめ細やかな肌に触れると、どうやら擽ったいように身じろいだ。
「ん...んー...っわぁ!ど、どうしたのよいきなり!!」
「...恋人関係を結ぶ、と言ったのは、其方です。」
起きるなり、髪は乱れていないかだの、涎を垂らしていないかだのと急に慌て始めた。
――本当に、黙ってさえいれば
数年前の彼女の幻を、追いかけなくて済むのに。