第5章 有終の美を貴女に 5
鍵を職員室に返し、正門へと向かう。
少し早めに歩いているつもりなのに、雅はさも当たり前のように横を歩いていた。
「あ、そうだ!新しく出来たカフェでも寄らない?まだ行ったことないからなぁ行ってみたいんだけど...」
「お断りします。...大体、私じゃなくても、いいでしょう?」
そう嫌味のように返すと、突然後ろに強く引っ張られた。
「貴女が良いの。」
雅に掴まれた腕が痛い。少し力が強い彼女の手は、少し震えていた。
「...何で。」
私はその理由を知っていた。
知っていながらも、試すように聞いてしまった。
「大好きだからに決まってるじゃない。」
そう言って微笑んだ雅は、記憶の中の彼女に、酷く似ていた。