第19章 黄瀬涼太 【R18】
膝の上に座らせても、まだ目線は少し低いまま。
こんな小さな身体のどこに、猛々しい男の欲を受け入れる包容力と、心を揺さぶって止まない強さを秘めているのだろう。
ただひとつ、浅い呼吸を繰り返す唇が不服そうなのは、いわゆる対面座位と呼ばれている体位のせい。
面と向かう体勢は恥ずかしい、とオトコを煽る天然な恋人を、今日はもう少し苛めてもいいだろうか。
いや、ほどほどにしておいた方が賢明か。
「結」
少し間延びした声で呼びかけると、不本意そうに顔をあげる結の頬を両手ではさみ、熱で潤んだ瞳をのぞきこむ。
「握手会もサイン会も、もう……しない、から」
「……え」
驚いたように瞬きする恋人に、募る愛しさと劣情。
誰にも見せたくないのは自分の方だ。
「……写真集、も?」
ぽつりとこぼれる期待以上の声に、心の中で舞い上がりながら、「お望みのままに」とスマートに鼻先にキスを落とすと、黄瀬はゆっくりと腰を揺らした。
もっと縛って
独占欲という名の甘い鎖で
「ひゃ……っ、ン、でも」
「でも、なん……スか?」
ベッドの上の反論ならいくらでも聞いてあげるから、その代わりイイ声を聞かせて。
「ぁ、写真集は……また、ン……見てみたいかも」
「へ」
「今回の本も、すごく……カッコよかった、から」
今までモデルの仕事に対して反応を見せたことのない彼女の口から、こんな言葉が聞ける日がくるなんて。
(あー……もう可愛すぎてガマンとか、無理っスわ)
細くくびれた腰を掴み、ピッチを上げて突き上げると、さらに締めつけが強くなる襞をかき分け、奥を穿つ。
「や、ぁ」
「どーやって手に、入れたんスか?自分で言うのもアレだけど、ハ、ッ……結構すぐ売り切れたはず、なのに」
「結城さ、んが送って、くれ……ゃ、ダメ、もイっちゃ……っ」
「ハ、いいよ。このまま……イって」
クールな男の粋な計らいに感謝するべきだろうか。
(でも、またひとつ借りができたっスね)
でも今は、目の前の可愛すぎる恋人のことで頭がいっぱいだ。
「もしかして、オカズに……するんスか?」
「っ……そ、んな……こと」
「ま、目の前に本人がいるんだから……そんな必要、ないか」
軽く達したのか、クタリと倒れこむ身体を、黄瀬はふたたびベッドに押し倒した。