第3章 本日のお仕事
ざわざわとした大広間を抜けてこっそりと自室に戻り、箪笥の中から稽古着を出してもそもそと着替え始める。
着ていた着物を脱ぎ、下着だけになると先程出した稽古着に袖を通し、羽織った状態で袴に足を入れる。
するとバタバタ、いやドタドタという複数の音が廊下から聞こえてくるではないか。
その足音達は部屋の前で止まったかと思うと、スパーンという音と共に襖が勢い良く開く。
「大将、手合わせっていってーどういうこ………」
『………………』
「……わぁ、あるじお着替え中だ、ね」
「はっはっは、なかなかにそそる格好をしているなぁ」
「ふ、ふふふふ、ふふ服を着てよ主!!!」
いや、え、はい。
なんなんでしょう、この状況は。
とりあえず、
『き、きゃあああああああああああああああ』
その後、本丸中に響いた悲鳴により被害は拡大していったのだった。